DV-Xα法とその特徴
DV-Xα法は、米国ノースウェスタン大学名誉教授 D. E. Ellisらと京都大学名誉教授 足立裕彦が1973〜1974年に開発し、改良されてきた分子軌道計算法のひとつである。
Xα法は、スレーターの提唱した方法で、ハートリー・フォック法で計算の複雑な交換ポテンシャルの項を電子密度の1/3乗に比例する、簡単な式で近似することが大きな特徴であり、この項を厳密に解こうとする方法が近年注目されている密度汎関数法である。
DV-Xα法では、さらに三次元実空間にサンプル点を選び、各点での被積分関数の値にその点の重みをかけて、すべての点についての和を取ることで積分を行う。
これらの結果、DV-Xα法は、
- Xαポテンシャルを用いるので、計算時間が短縮できるため、複雑な系での計算が、現実的な時間で可能となる。
- 基底関数に数値原子軌道を用いるので、周期表の全元素について同じ手続きで同じ精度の正確な計算ができる。
- 全電子を含めた計算を行うので、内殻電子と価電子とを同時に評価できる。
- 多電子励起を含め、各種励起状態の計算が基底状態と同じように行える。
- スレーターの遷移状態法を用いて、電子遷移の正確な計算ができ、電子スペクトルのピークエネルギーの絶対値を正確に計算できる。
- DV数値積分を行うので、種々の多中心積分が簡単に求められ、遷移確率や種々の物性値の第一原理計算ができる。
といった特徴を持つ。
そのため、金属材料、半導体材料、無機化合物、溶液、溶融塩、電子分光、表面、界面、原子過程、材料設計など様々な分野で利用されている。