◎ATOM・ATOMN
〜VENUSで読める原子軌道関数ファイルを全自動で準備するプログラム〜
○必要な情報は、原子番号のみです。
○入力ファイルは必要ありません。
○適当な空ディレクトリで、atom[Enter]もしくはatomn[Enter]と入力するだけです。
○プログラムを実行すると、必要な数値の入力をプログラムが求めてきます。
○atomnは、全自動でDV-Xα計算および周辺プログラムを実行し、3D波動関数ファイル(*.sca)などを出力します。
○atomは、F01の作成およびF25の準備のみを実行して動作終了します。
○水素(原子番号=1)からプルトニウム(原子番号=94)まで計算できます。
○atomnはノンスピン版です(サンプル点数は10000点に固定)。
○atomnにてcontrdは、101 x 101 x 101 のメッシュで回ります。
○atomnは、収束するまで(最大100サイクル)SCAT計算を繰り返します。
○atomnは、100サイクルSCAT計算を繰り返しても収束しなかった場合でも、周辺プログラムを実行します。
○atomnは、contrd、NETC、BASEF、LVLSHM、WAVNUM、POPANLを自動実行します。
○atomn実行後、DVPLOT[Enter]を実行してB07を開くことにより、動径関数のグラフを出力できます。
○atomn実行後、DVPLOT[Enter]を実行してL07を開くことにより、エネルギー準位図を出力できます。
○計算終了後の全原子軌道関数のうち、プログラムが適当なものを選んで出力します。
○作成されるF25は、dataディレクトリの“atomf”を“F25”という名前でコピーしているだけです。
●ダウンロードはこちらから→
atom.zip [download]
934 KB 2006.08.24
ATOM
・入力ファイル:なし
・出力ファイル:c04d, F01, F25, C04D00.BAT, C04D00.TXT, C04D01, C04D02
・使用方法:atom[Enter]
ATOMN
・入力ファイル:なし
・出力ファイル:c04d, F01, F05, F25, F08E, F08P, F09, F39, I08, WAVNUM, *.sca, etc.
・使用方法:atomn[Enter]
【本プログラム計算結果(F08E)の見方についての解説】
F08Eにおける分子軌道(実際には原子軌道)の読み方ですが、s, p, d, fなどの記号の前の数字を足し算して、読んでください。
【例えば、鉄原子の計算結果の場合】
1+0s -> 1s軌道
2+0s -> 2s軌道
1+1p2 -> 2p軌道(F25のp軌道の箇所の2番目)
1+1p3 -> 2p軌道(F25のp軌道の箇所の3番目)
1+1p1 -> 2p軌道(F25のp軌道の箇所の1番目)
3+0s -> 3s軌道
2+1p1 -> 3p軌道(F25のp軌道の箇所の1番目)
2+1p3 -> 3p軌道(F25のp軌道の箇所の3番目)
2+1p2 -> 3p軌道(F25のp軌道の箇所の2番目)
1+2d4 -> 3d軌道(F25のd軌道の箇所の4番目)
1+2d2 -> 3d軌道(F25のd軌道の箇所の2番目)
1+2d5 -> 3d軌道(F25のd軌道の箇所の5番目)
4+0s -> 4s軌道
1+2d1 -> 3d軌道(F25のd軌道の箇所の1番目)
1+2d3 -> 3d軌道(F25のd軌道の箇所の3番目)
3+1p3 -> 4p軌道(F25のp軌道の箇所の3番目)
3+1p1 -> 4p軌道(F25のp軌道の箇所の1番目)
3+1p2 -> 4p軌道(F25のp軌道の箇所の2番目)
F25
に書いてあるのは、角度部分の情報のみです。すなわち、球面調和関数の情報しか書いてありません。
動径部分の情報は、
F25
には一切入っておりません。
実数型球面調和関数
y
lm
で、
y
00
= s
y
11
= p
x
y
10
= p
z
y
1-1
= p
y
y
22
= d
x
2
-y
2
y
21
= d
xz
y
20
= d
z
2
y
2-1
= d
yz
y
2-2
= d
xy
です。
単原子計算(atomn)時の
F25
(C:\DVXA\DATA\ATOMF)は、
----+----1----+----2----+----3----+----4----+----5
1+0s
0 1
0 1 1.0000000
1+1p1
1 1
1 1 1.0000000
1+1p2
1 1
0 1 1.0000000
1+1p3
1 1
-1 1 1.0000000
1+2d1
2 1
2 1 1.0000000
1+2d2
2 1
1 1 1.0000000
1+2d3
2 1
0 1 1.0000000
1+2d4
2 1
-1 1 1.0000000
1+2d5
2 1
-2 1 1.0000000
1+3f1
3 1
3 1 1.0000000
1+3f2
3 1
2 1 1.0000000
1+3f3
3 1
1 1 1.0000000
1+3f4
3 1
0 1 1.0000000
1+3f5
3 1
-1 1 1.0000000
1+3f6
3 1
-2 1 1.0000000
1+3f7
3 1
-3 1 1.0000000
symOrb v*.*d
** Nsym, Isyml, Jsyml **
16
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 1 1 1 1 1
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 1 1 1 1 1
----+----1----+----2----+----3----+----4----+----5
となっております。
これを日本語に翻訳すると、
+0s:
y
00
(
l
= 0,
m
= 0) = s軌道
+1p1:
y
11
(
l
= 1,
m
= 1) = p
x
軌道 (p軌道の1番目)
+1p2:
y
10
(
l
= 1,
m
= 0) = p
z
軌道 (p軌道の2番目)
+1p3:
y
1-1
(
l
= 1,
m
= -1) = p
y
軌道 (p軌道の3番目)
+2d1:
y
22
(
l
= 2,
m
= 2) = d
x
2
-y
2軌道 (d軌道の1番目)
+2d2:
y
21
(
l
= 2,
m
= 1) = d
xz
軌道 (d軌道の2番目)
+2d3:
y
20
(
l
= 2,
m
= 0) = d
z
2軌道 (d軌道の3番目)
+2d4:
y
2-1
(
l
= 2,
m
= -1) = d
yz
軌道 (d軌道の4番目)
+2d5:
y
2-2
(
l
= 2,
m
= -2) = d
xy
軌道 (d軌道の5番目)
+3f1:
y
33
(
l
= 3,
m
= 3) = f
x(x
2
-3y
2)軌道 (f軌道の1番目)
+3f2:
y
32
(
l
= 3,
m
= 2) = f
z(x
2
-y
2)軌道 (f軌道の2番目)
+3f3:
y
31
(
l
= 3,
m
= 1) = f
xz
2 (f軌道の3番目)
+3f4:
y
30
(
l
= 3,
m
= 0) = f
z
3軌道 (f軌道の4番目)
+3f5:
y
3-1
(
l
= 3,
m
= -1) = f
yz
2軌道 (f軌道の5番目)
+3f6:
y
3-2
(
l
= 3,
m
= -2) = f
xyz
軌道 (f軌道の6番目)
+3f7:
y
2-3
(
l
= 3,
m
= -3) = f
y(3x
2
-y
2)軌道 (f軌道の7番目)
となります。
単原子を計算したときは、この対称ブロックラベルに内殻側から順番に1、2、3と付きます。
s軌道のブロックは、内殻側から1、2、3でよろしいのですが、p軌道のブロックはそれでは困ります。
p軌道は2p軌道から始まるからです(1p軌道というものは存在しません)。
同様に、d軌道は3d軌道から始まります。
f軌道は4f軌道から始まります。
これをなんとかしようと苦肉の策が、
s軌道ブロックを“+0s”
p軌道ブロックを“+1p”
d軌道ブロックを“+2d”
f軌道ブロックを“+3d”
といった、各原子軌道ブロックへのラベル付けというアイデアです。
これなら内殻側から、1、2、3と番号が付いても、ちゃんと足し算をすれば、
1s: 1 +0s = 1s
2s: 2 +0s = 2s
3s: 3 +0s = 3s
4s: 4 +0s = 4s
5s: 5 +0s = 5s
6s: 6 +0s = 6s
7s: 7 +0s = 7s
2p: 1 +1p = 2p
3p: 2 +1p = 3p
4p: 3 +1p = 4p
5p: 4 +1p = 5p
6p: 5 +1p = 6p
7p: 6 +1p = 7p
3d: 1 +2d = 3d
4d: 2 +2d = 4d
5d: 3 +2d = 5d
6d: 4 +2d = 6d
4f: 1 +3f = 4f
5f: 2 +3f = 5f
となってくれるといった次第です。
そして角度部分(球面調和関数)について、例えばp軌道といってもp
x
(
y
11
)なのか、p
y
(
y
1-1
)なのか、p
z
(
y
10
)なのかといった情報も、F25における何番目という 情報を見れば、すぐに分かるといった次第です。
【単原子計算のF25(C:\DVXA\DATA\ATOMF)】
+0s:
y
00
(
l
= 0,
m
= 0) = s軌道
+1p1:
y
11
(
l
= 1,
m
= 1) = p
x
軌道 (p軌道の1番目)
+1p2:
y
10
(
l
= 1,
m
= 0) = p
z
軌道 (p軌道の2番目)
+1p3:
y
1-1
(
l
= 1,
m
= -1) = p
y
軌道 (p軌道の3番目)
+2d1:
y
22
(
l
= 2,
m
= 2) = d
x
2
-y
2軌道 (d軌道の1番目)
+2d2:
y
21
(
l
= 2,
m
= 1) = d
xz
軌道 (d軌道の2番目)
+2d3:
y
20
(
l
= 2,
m
= 0) = d
z
2軌道 (d軌道の3番目)
+2d4:
y
2-1
(
l
= 2,
m
= -1) = d
yz
軌道 (d軌道の4番目)
+2d5:
y
2-2
(
l
= 2,
m
= -2) = d
xy
軌道 (d軌道の5番目)
+3f1:
y
33
(
l
= 3,
m
= 3) = f
x(x
2
-3y
2)軌道 (f軌道の1番目)
+3f2:
y
32
(
l
= 3,
m
= 2) = f
z(x
2
-y
2)軌道 (f軌道の2番目)
+3f3:
y
31
(
l
= 3,
m
= 1) = f
xz
2 (f軌道の3番目)
+3f4:
y
30
(
l
= 3,
m
= 0) = f
z
3軌道 (f軌道の4番目)
+3f5:
y
3-1
(
l
= 3,
m
= -1) = f
yz
2軌道 (f軌道の5番目)
+3f6:
y
3-2
(
l
= 3,
m
= -2) = f
xyz
軌道 (f軌道の6番目)
+3f7:
y
2-3
(
l
= 3,
m
= -3) = f
y(3x
2
-y
2)軌道 (f軌道の7番目)
をご参照の上、F08Eを読んでいただければ幸甚です。
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岡山理科大学 理学部 化学科 無機元素化学研究室 坂根弦太
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