◎MOLDA2DV
〜単結晶X線構造解析結果のCIFより、DV入力ファイルを用意します〜
○
CIF(Crystallographic Information File)
は、単結晶のX線構造解析システム(例えば、
(株)リガク
のteXsanやCrystalStructureなど)より出力できます。
○まず、
Molda for Windows
を起動し、ファイル(F)-インポート-CIF(*.cif)でCIFを読み込みます。
○表示(V)-自動結合生成にチェックを入れておけば、大部分の結合は自動的に生成されますが、結合の過不足がある場合は手動で結合を追加、あるいは削除します。
○X線構造解析の解析単位をそのままDV-Xα計算する場合はそのままでよいのですが、例えば錯陽イオン部分のみ計算する場合などは、DV-Xα計算に含めない原子は削除していきます。
○X線構造解析の解析単位のみでは分子が完成せず、結晶学的な対称操作により原子群を発生する必要がある場合は、あらかじめCIFを作成する前に対称操作を実行し、DV-Xα計算しようとする原子座標はCIFに書き込んでおくとよいでしょう。それがうまく行かないときには、別の方法があります。詳しくは
こちら
をご覧ください。
○表示(V)-オートスケールを解除すれば、コントロールパネルで分子全体の平行移動(X軸、Y軸、Z軸)、回転(X軸回り、Y軸回り、Z軸回り)ができますので、分子をなるべく正確に原点付近に移動します。擬似的にでも回転軸が存在するなら、回転の主軸はZ軸に合わせる方が好適です。
○原子の座標値は、右上の三角定規に青丸のアイコンをクリックしてから画面上の1原子を指定することにより表示できます。特に原子のZ座標値は、数字で確認しないと直感的に分かりません。Z座標の値を0にしたい原子がある場合は、Z軸平行移動をするたびに原子をクリックして座標値の変化を確かめます。
○ファイル(F)-エクスポート-TINKER(*,XYZ)を選び、Change Atom typeをOKし、”MOLDA.xyz”という名前で保存します。
○Molda for Windowsを終了し、DV-Xa環境でmolda2dvを起動しますと、“F01.DV”が出力されます。
○分子に対称を仮定して対称軌道を用いる場合は、対称軌道の作成が別途必要です。このmolda2dvで作成されるF01.DVは、分子の対称は仮定しておりません。
○F01.DVをF01にコピーします(COPY F01.DV F01)。
○必要に応じて、F01を編集します。デフォルトでは、ノンスピンになっております。
○makef05を起動します。原子数が100を超える場合は、dvxa\scat\makef05.fのディメンジョンの数を増やす必要があります。例えば、ディメンジョンが100になっている箇所をすべて1000にしてコンパイル、リンクしなおせばOKだと思います。
○計算しようとしているモデル全体が中性電荷であればそのままでよろしいのですが、例えば計算しようとしているモデルが錯陽イオンなど電荷を有している場合は、全電子数の調整、各原子軌道の電子数の調整(F05の前半と後半に2箇所同じような書式で各原子の原子軌道の電子数を記述する箇所があります)をする必要があります。例えば、[Co(NH
3
)
6
]
3+
であれば、全電子数から電子を3つ取り去り、コバルトの適当な外側の原子軌道から電子を3つ取り去れば作業終了です。具体的には、書籍
「はじめての電子状態計算」
の173ページ、付録D-2、F05の「電子数」と書いてある箇所が全電子数ですので、ここの数字から3をひいて書き換えます。次に「電子配置」と書いてある箇所が173ページに1箇所と174ページに1箇所ありますので、コバルト原子の電子配置から適当な外側の軌道から電子を3つ取り去り書き換えます。窒素や水素については、初期状態は(NH
3
)
0
との考えにたてば、電子数は変更する必要はありません。
○例えば、dvscat gのようにSCAT計算を行いますが、原子数が多い場合は、F17の空白行をかなりたくさん増やしてやる必要があります。空白行が不足していると、読み込みエラーとなってしまいます。
○X線構造解析で、水素原子も含めて全原子が精度良く座標決定できている場合、以上の操作でそのままDV-Xα法による電子状態計算ができます。すなわち、X線構造解析の続きとして、そのまま電子状態が求まります。
○パッキング等で多めに原子を発生させた場合でも、各種プログラムのディメンジョンさえ足りていれば、DV-Xα計算は可能です。
○原子の座標さえ正しく入力されていれば、実験値とよくあう計算結果を得ることができます。
○F01.DVの原子座標は、Å単位で出力しております。
○MOLDA.xyzの存在するディレクトリで、molda2dv[Enter]と入力するだけです。
○MOLDA2DVの具体的な使用方法については、
こちら
をご覧ください。
●ダウンロードはこちらから→
molda2dv.zip [download]
74 KB 2004.10.26
・入力ファイル:MOLDA.xyz
・出力ファイル:F01.DV
・使用方法:molda2dv [Enter]
→
もくじに戻る
坂根ページへ
/
無機元素化学研究室ページへ
/
化学科ページへ
岡山理科大学 理学部 化学科 無機元素化学研究室 坂根弦太
ご意見・ご質問は下記まで
gsakane@chem.ous.ac.jp