【6】DV-Xα分子軌道計算
- 〜DV-Xα分子軌道計算を実行します。〜
- ◎1.DV-Xα計算については、基本的には黄色い教科書「はじめての電子状態計算」に分かりやすく説明が書かれておりますので、そちらをご参照ください。
- ◎2.例えば、dvscat gのようにSCAT計算を行いますが、原子数が多い場合は、F17の空白行をかなりたくさん増やしてやる必要があります。空白行が不足していると、読み込みエラーとなってしまいます。ジョブクラスの選択については、黄色い教科書「はじめての電子状態計算」の付録B−5「変数のサイズについて」を参照してください。
- ◎3.DV-Xα計算が収束するまで、計算を繰り返します。詳しくは黄色い教科書「はじめての電子状態計算」の付録F「収束に関するパラメータ」を参照してください。サンプル点数や収束のしやすさの違いにより計算時間は変わってきますが、私(坂根)の経験では、40原子程度の錯体(錯陽イオン)で100〜200サイクル、2時間前後で計算は終了します。具体的な計算例はこちらをご覧ください。
- ※補足
原子単位[atomic unit]は、原子や分子などミクロな世界で使われる
各種の単位(長さ、時間、エネルギーなど)(共通の記号はa.u.)で、
長さの原子単位としては
ボーア半径[Bohr radius]
(ボーアの原子理論で考えられた水素原子の電子軌道のうち最小のものの半径)
a0 = 0.5291772108(18)×10-10 m *1
が使われます。
1 Å = 10-10 mですから、1a0 = 0.5291772108(18) Åです。
DV-Xαの入出力ファイルF05やF26に書かれている原子の座標数値は、原子単位で表記されています。
*1) ( )内の2桁の数字は、表示されている値の最後の2桁についての標準不確かさを表します。
すなわち、a0の値の表記は、(0.5291772108±0.0000000018)×10-10を意味します。
a0の値としては実用上、0.529177×10-10程度の桁数の値が使われます。
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岡山理科大学 理学部 化学科 坂根弦太
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