テトラクロロ白金(II)酸の分子軌道計算

◎平面四配位AB4型錯体(錯イオン)の分子軌道計算

プログラム名: d4h14

マニュアル（ステップバイステップ）バージョン

f01作成(f25準備) ⇒ makef05 ⇒ scat計算 ⇒ 周辺プログラム を
一つ一つ手動で実行していきます

d4h14＋makef05＋scatの具体的な使い方

テトラクロロ白金(II)酸[PtCl4]2-の場合

１．DV-Xα計算環境(コマンドプロンプト画面)で、
　　これから計算で用いる適当な空ディレクトリを準備します。
　cd calc [Enter]　・・・c:\dvxaからc:\dvxa\calcに移動します
　md ptcl4 [Enter]　・・・c:\dvxa\calcの中に、ptcl4ディレクトリを作成します
　cd ptcl4 [Enter]　・・・c:\dvxa\calcからc:\dvxa\calc\ptcl4に移動します


２．プログラムd4h14を起動して[PtCl4]2-のDV-Xα計算に必要なF01とF25を準備します。
　d4h14 [Enter]　・・・プログラムd4h14を起動します
　78 [Enter]　・・・白金の原子番号
　2 [Enter]　・・・白金の酸化数
　17 [Enter]　・・・塩素の原子番号
　-1 [Enter]　・・・塩素の酸化数
　2.308 [Enter]　・・・Pt-Clの結合距離(Å)


３．エディタ（メモ帳など）でF01を編集（確認）します。
以下、メモ帳での作業例を紹介いたします。

スタート−すべてのプログラム(P)−アクセサリ−メモ帳 を起動します。

DV-Xα メモ帳
ファイル(F)−開く(O)で、c:\dvxa\calc\ptcl4\f01 を開きます。

DV-Xα メモ帳
開くときは、ファイルの種類(T): をテキスト文書(*.txt)からすべてのファイルに変更します。

DV-Xα メモ帳
これを必要があれば編集して（書き加えて）保存、メモ帳を終了します。
すでに、NEQ = 1(白金) の CHG(電荷)は 2.0に、
NEQ = 2(塩素) の CHG(電荷)は -1.0になっているはずです（通常は編集不要）。

DV-Xα メモ帳


４．プログラムmakef05を起動して[PtCl4]2-のDV-Xα計算に必要なF05を作成します。
　makef05 [Enter]　・・・プログラムmakef05を起動します


５．ノンスピン版のscatを起動して[PtCl4]2-のDV-Xα分子軌道計算を行います。
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算を10サイクル回します
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算をさらに10サイクル回します
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算をさらに回します
　type f06z | more [Enter]　・・・先頭に“Converged”とあればscat計算は収束しています


６．周辺プログラムを駆使して[PtCl4]2-のDV-Xα分子軌道計算結果(数値デ−タ)を見ていきます。
　type f08e [Enter]　・・・[PtCl4]2-の分子軌道(計算結果)を見ます
　hlgap [Enter]　・・・HOMOとLUMOの間隔を計算します
　hlgaps [Enter]　・・・HOMO, HOMO-1, HOMO-2と、LUMO, LUMO+1との間隔を計算します
　netc n [Enter]　・・・[PtCl4]2-のネットチャージを計算します
　type i08 [Enter]　・・・[PtCl4]2-のネットチャージを見ます
　bndodr n [Enter]　・・・[PtCl4]2-のボンドオーバラップポピュレーションを計算します
　type bn8 [Enter]　・・・[PtCl4]2-のボンドオーバラップポピュレーションを見ます
　popanl n [Enter]　・・・[PtCl4]2-の分子軌道の成分原子軌道の割合を計算します
　type f08p | more [Enter]　・・・[PtCl4]2-の分子軌道の成分原子軌道の割合を見ます


７．周辺プログラムを駆使して[PtCl4]2-のDV-Xα分子軌道計算結果をグラフィカルに可視化していきます。


d4h14＋makef05＋scat で簡単に電子状態計算できる分子の例
(一般的な、平面四配位 AB4型錯体（錯イオン）の例)
No. 化学式 A B 結合距離(Å) 備考
AB4 原子番号 酸化数 原子番号 酸化数 A-B
1 [PtCl4]2- 78 2 17 -1 2.308
(K塩)		 テトラクロロ白金(II)酸イオン
tetrachloroplatinate(II)
イオンは赤色, K2[PtCl4]は赤褐色の
正方晶系結晶, 密度は3.38 g/cm3, 反磁性.
2 [PdCl4]2- 46 2 17 -1 2.318
(K塩)		 テトラクロロパラジウム(II)酸イオン
3 [AuCl4]- 79 3 17 -1 2.282 テトラクロロ金(III)酸イオン
構造データ：文献1
・表中の原子間距離は、(社)日本化学会編 化学便覧 基礎編 改訂5版 丸善 2004年 に掲載されている数値です。
・表中の備考欄は、化学大辞典、理化学辞典、無機化合物・錯体辞典、有機化合物辞典より一部抜粋しております。
 文献1) A.V.Polishchuk, E.T.Karaseva, M.A.Pushilin (2009) Acta Crystallogr., Sect. E: Struct.Rep.Online, 65, m1377.


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