メタン分子の分子軌道計算

◎正四面体AB4型分子の分子軌道計算

プログラム名: td14

マニュアル（ステップバイステップ）バージョン

f01作成(f25準備) ⇒ makef05 ⇒ scat計算 ⇒ 周辺プログラム を
一つ一つ手動で実行していきます

td14＋makef05＋scatの具体的な使い方

メタン分子CH4の場合

１．DV-Xα計算環境(コマンドプロンプト画面)で、
　　これから計算で用いる適当な空ディレクトリを準備します。
　cd calc [Enter]　・・・c:\dvxaからc:\dvxa\calcに移動します
　md ch4 [Enter]　・・・c:\dvxa\calcの中に、ch4ディレクトリを作成します
　cd ch4 [Enter]　・・・c:\dvxa\calcからc:\dvxa\calc\ch4に移動します


２．プログラムtd14を起動してCH4分子のDV-Xα計算に必要なF01とF25を準備します。
　td14 [Enter]　・・・プログラムtd14を起動します
　6 [Enter]　・・・窒素の原子番号
　1 [Enter]　・・・水素の原子番号
　1.0870 [Enter]　・・・C-Hの結合距離


３．プログラムmakef05を起動してCH4分子のDV-Xα計算に必要なF05を作成します。
　makef05 [Enter]　・・・プログラムmakef05を起動します


４．ノンスピン版のscatを起動してCH4のDV-Xα分子軌道計算を行います。
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算を10サイクル回します
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算をさらに10サイクル回します
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算をさらに10サイクル回します
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算をさらに回します
　type f06z | more [Enter]　・・・先頭に“Converged”とあればscat計算は収束しています


５．周辺プログラムを駆使してCH4のDV-Xα分子軌道計算結果(数値デ−タ)を見ていきます。
　type f08e [Enter]　・・・CH4の分子軌道(計算結果)を見ます
　hlgaps [Enter]　・・・HOMO, HOMO-1, HOMO-2と、LUMO, LUMO+1との間隔を計算します
　netc n [Enter]　・・・CH4のネットチャージを計算します
　type i08 [Enter]　・・・CH4のネットチャージを見ます
　bndodr n [Enter]　・・・CH4のボンドオーバラップポピュレーションを計算します
　type bn8 [Enter]　・・・CH4のボンドオーバラップポピュレーションを見ます
　popanl n [Enter]　・・・CH4の分子軌道の成分原子軌道の割合を計算します
　type f08p | more [Enter]　・・・CH4の分子軌道の成分原子軌道の割合を見ます


６．周辺プログラムを駆使してCH4のDV-Xα分子軌道計算結果をグラフィカルに可視化していきます。


１．〜４．の操作画面を以下に掲載します。
td14_1
td14_2


td14＋makef05＋scat で簡単に電子状態計算できる分子の例
(一般的な、正四面体 AB4型分子の例)
No. 化学式 原子番号 結合距離（Å） 備考
AB4 A B A-B
1 CH4 6 1 1.0870 メタン (methane), 沼気 量子材料化学入門 p. 89〜92
無色の可燃性気体, 融点-182.48℃, 沸点 -161.49℃,
比重 0.4240 (-161.58℃)，密度 0.716 g/dm3 (0℃, 1 atm).
2 CF4 6 9 1.3193 四フッ化炭素 (carbon tetrafluoride)
無色の気体, 融点 -184℃, 沸点 -128℃, 密度 3.03 g/dm3(気体),
水に難溶, エタノール，エーテルに易溶, 化学的には極めて安定.
3 CCl4 6 17 1.767 四塩化炭素 (carbon tetrachloride)
特異臭のある無色液体, 融点 -22.9℃, 沸点 76.7℃, 密度 1.63 g/cm3 (20℃),
水に難溶, エタノール, エーテルに可溶, 麻酔性あり, 引火性なし.
4 CBr4 6 35 1.942 四臭化炭素 (carbon tetrabromide)
無色の単斜晶系結晶, 気体分子は炭素を中心とする正4面体形,
融点 94.7℃, 沸点 189.5℃, 密度 3.42 g/cm3,
水に難溶，エタノール, エーテル, クロロホルムに可溶.
5 SiH4 14 1 1.4707 モノシラン (monosilane), シリコメタン
無色で悪臭のある猛毒の気体, 融点 -185℃, 沸点 -111.9℃,
空気中で発火し, 光輝ある炎をあげて二酸化ケイ素と水になる,
水とはほとんど反応せず, アルコール, ベンゼン, クロロホルムに不溶,
アモルファスシリコンの製造原料.
6 SiF4 14 9 1.5540 四フッ化ケイ素 (silicon tetrafluoride)
無色刺激臭のある気体, 融点 -90.2℃, 沸点 -86℃,
熱的には非常に安定であるが, 水と激しく反応してSiO2とH2SiF6とになる.
有機ケイ素化合物の合成原料.
7 SiCl4 14 17 2.019 四塩化ケイ素 (silicon tetrachloride)
無色, 流動性の液体, 発煙性で刺激臭あり,
融点 -70℃, 沸点 57.6℃, 密度 1.48 g/cm3,
湿った空気中で発煙, 水と激しく反応してケイ酸と塩酸とになる.
アンモニアを混ぜて煙幕とする. 有機ケイ素化合物, ケイ素樹脂の原料として重要.
8 TiCl4 22 17 2.170 四塩化チタン (titanium tetrachloride)
無色の液体, 融点 -25℃, 沸点 136.4℃,
希塩酸, エタノールに可溶, 湿った空気中では加水分解して発煙,
金属チタンの製造原料, TiCl3とともにチーグラー‐ナッタ触媒の1成分.
9 TiBr4 22 35 2.339 四臭化チタン (titanium tetrabromide)
10 VCl4 23 17 2.138 四塩化バナジウム (vanadium tetrachloride)
赤褐色の液体, 融点 -28℃, 沸点 148.5℃ (755 Torr).
エタノール, エーテル, クロロホルムに可溶.
11 GeH4 32 1 1.5143 モノゲルマン (monogermane),
四水素化ゲルマニウム (germanium tetrahydride)
無色の気体, 融点 -164.8℃, 沸点 -88.1℃,
空気にふれただけでは燃焼せず水やアルカリ溶液とも反応しない.
ゲルマニウム化合物, ことに有機誘導体の原料.
12 GeCl4 32 17 2.113 四塩化ゲルマニウム (germanium tetrachloride)
無色の液体, 融点 -49.5℃, 沸点 84.0℃,
乾燥状態では安定, 水によって徐々に加水分解,
ゲルマニウム精製の中間体.
13 GeBr4 32 35 2.272 四臭化ゲルマニウム (germanium tetrabromide)
灰白色の立方晶系結晶, 正4面体形のGeBr4分子からなる.
融点 26℃, 沸点 186℃, 湿った空気中で加水分解しやすい.
ベンゼン, 四塩化炭素に可溶.
14 ZrF4 40 9 1.90 四フッ化ジルコニウム (zirconium tetrafluoride)
15 ZrCl4 40 17 2.328 四塩化ジルコニウム (zirconium tetrachloride)
16 RuO4 44 8 1.706 四酸化ルテニウム (ruthenium tetraoxide)
黄金色の斜方晶系結晶, 正4面体構造のRuO4からなる.
融点 25.4℃, 沸点 40℃, 水への溶解度 2.21 g/100g水 (25℃)，
エタノール, 四塩化炭素に易溶. 揮発性でオゾン臭がある.
OsO4より強い酸化剤.
17 SnH4 50 1 1.6909 スタンナン (stannane), 四水素化スズ(tin tetrahydride)
無色の気体, 融点 -150℃, 沸点 -52℃.
水に不溶, 希薄な酸, アルカリ中で安定, 濃アルカリや濃硫酸で分解.
有機物に対する強い還元剤.
18 SnCl4 50 17 2.281 四塩化スズ (tin tetrachloride)
無色の液体, 融点 -33℃, 沸点 114.1℃, 密度 2.23 g/cm3.
湿った空気中で激しく発煙, 水には発熱して溶け, 徐々に加水分解.
有機スズ化合物の合成原料, 媒染剤，縮合剤.
19 XeO4 54 8 1.736 四酸化キセノン (xenon tetraoxide)
無色の気体, 爆発性.
20 HfCl4 72 17 2.316 四塩化ハフニウム (hafnium tetrachloride)
21 OsO4 76 8 1.712 四酸化オスミウム (osmium tetraoxide)
無色の単斜晶系結晶, 融点 39.5℃, 沸点 130℃, 溶解度 7.0 g/100g水 (25 ℃).
ベンゼン, エーテル, エタノールに易溶.
蒸気は刺激性の悪臭をもち, 有毒.
オレフィン類のジヒドロキシレーションの試薬.
22 ThF4 90 9 2.14 四フッ化トリウム (thorium tetrafluoride)
23 ThCl4 90 17 2.567 四塩化トリウム (thorium tetrachloride)
24 [FeCl4]2- 26 17 2.292 NMe4塩
 ((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 2.0
　2　　-1.0
25 [FeCl4]- 26 17 2.185 PCl4塩
 ((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 3.0
　2　　-1.0
26 [NiCl4]2- 28 17 2.273 NMe4塩
 ((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 2.0
　2　　-1.0
27 PCl4+ 15 17 1.90
((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 5.0
　2　　-1.0
 あるいは、
 |NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 1.0
28 [PdCl4]2- 46 17 2.318 K塩
 ((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 2.0
　2　　-1.0
29 [PtCl4]2- 78 17 2.308 K塩
 ((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 2.0
　2　　-1.0
30 TcO4- 43 8 1.724 K塩
 ((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 7.0
　2　　-2.0
 あるいは、
 |NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　-1.0
31 [TlCl4]- 81 17 2.42 [CoCl2(en)2]塩
 ((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 3.0
　2　　-1.0
・表中の原子間距離は、(社)日本化学会編 化学便覧 基礎編 改訂5版 丸善 2004年 に掲載されている数値です。
・表中の備考欄は、化学大辞典、理化学辞典、無機化合物・錯体辞典、有機化合物辞典より一部抜粋しております。


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