六フッ化硫黄分子の分子軌道計算

◎正八面体AB6型分子の分子軌道計算

プログラム名: oh16

マニュアル（ステップバイステップ）バージョン

f01作成(f25準備) ⇒ makef05 ⇒ scat計算 ⇒ 周辺プログラム を
一つ一つ手動で実行していきます

oh16＋makef05＋scatの具体的な使い方

六フッ化硫黄分子SF6の場合

１．DV-Xα計算環境(コマンドプロンプト画面)で、
　　これから計算で用いる適当な空ディレクトリを準備します。
　cd calc [Enter]　・・・c:\dvxaからc:\dvxa\calcに移動します
　md sf6 [Enter]　・・・c:\dvxa\calcの中に、sf6ディレクトリを作成します
　cd sf6 [Enter]　・・・c:\dvxa\calcからc:\dvxa\calc\sf6に移動します


２．プログラムoh16を起動してSF6分子のDV-Xα計算に必要なF01とF25を準備します。
　oh16 [Enter]　・・・プログラムoh16を起動します
　16 [Enter]　・・・硫黄の原子番号
　9 [Enter]　・・・フッ素の原子番号
　1.5607 [Enter]　・・・S-Fの結合距離


３．プログラムmakef05を起動してSF6分子のDV-Xα計算に必要なF05を作成します。
　makef05 [Enter]　・・・プログラムmakef05を起動します


４．ノンスピン版のscatを起動してSF6のDV-Xα分子軌道計算を行います。
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算を10サイクル回します
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算をさらに10サイクル回します
　dvscat n [Enter]　・・・scat計算をさらに10サイクル回します
　type f06z | more [Enter]　・・・先頭に“Converged”とあればscat計算は収束しています


５．周辺プログラムを駆使してSF6のDV-Xα分子軌道計算結果(数値デ−タ)を見ていきます。
　type f08e [Enter]　・・・SF6の分子軌道(計算結果)を見ます
　hlgaps [Enter]　・・・HOMO, HOMO-1, HOMO-2と、LUMO, LUMO+1との間隔を計算します
　netc n [Enter]　・・・SF6のネットチャージを計算します
　type i08 [Enter]　・・・SF6のネットチャージを見ます
　bndodr n [Enter]　・・・SF6のボンドオーバラップポピュレーションを計算します
　type bn8 [Enter]　・・・SF6のボンドオーバラップポピュレーションを見ます
　popanl n [Enter]　・・・SF6の分子軌道の成分原子軌道の割合を計算します
　type f08p | more [Enter]　・・・SF6の分子軌道の成分原子軌道の割合を見ます


６．周辺プログラムを駆使してSF6のDV-Xα分子軌道計算結果をグラフィカルに可視化していきます。


１．〜４．の操作画面を以下に掲載します。
oh16_1
oh16_2


oh16＋makef05＋scat で簡単に電子状態計算できる分子の例
(一般的な、正八面体 AB6型分子の例)
No. 化学式 原子番号 結合距離（Å） 備考
AB6 A B A-B
1 SF6 16 9 1.5607 六フッ化硫黄 (sulfur hexafluoride)
無色無臭の気体, 融点 -50.8 ℃, 昇華点 -63.8 ℃,
熱的, 化学的に安定, 水に難溶, エタノールにはやや溶ける.
高耐熱性, 不燃性, 非腐食性の電気絶縁用気体.
2 SeF6 34 9 1.685 六フッ化セレン (selenium hexafluoride)
不快臭のある無色の気体, 融点 -34.6 ℃(1500 mmHg),
融点より低い温度で昇華する(-46.6 ℃(760 mmHg)). 有毒.
3 MoF6 42 9 1.820 六フッ化モリブデン (molybdenum hexafluoride)
白色の結晶, 融点 17 ℃, 沸点 35 ℃, 湿気に極めて敏感で,
空気中で徐々に酸化モリブデン(VI)になる. 強力なフッ素化剤.
4 TeF6 52 9 1.815 六フッ化テルル (tellurium hexafluoride)
不快臭のある無色の気体, 融点 -36〜37.6 ℃, 昇華点 -38.9 ℃,
室温では24時間で完全に加水分解する(TeF6 + 6H2O → 6HF + H6TeO6).
5 WF6 74 9 1.832 六フッ化タングステン (tungsten hexafluoride)
気体は無色, 液体は淡黄色, 固体は白色, 融点 2.5 ℃, 沸点 17.5 ℃,
反応性が高く, 容易に加水分解を受ける. 気体は最も重たい気体の一つ.
6 ReF6 75 9 1.832 六フッ化レニウム (rhenium hexafluoride)
淡黄色結晶, 融点 18.8 ℃, 沸点 47.6 ℃
吸湿性が大きく空気中で発煙.
7 OsF6 76 9 1.831 六フッ化オスミウム (osmium hexafluoride)
黄色の固体, 融点 32.1 ℃, 沸点 45.9 ℃, 常磁性, 磁気モーメント 1.50 B.M. (297 K).
((注意)) 六フッ化オスミウムが常磁性であることに鑑みて、makef05を実行する前に
F01を以下のように編集する必要があります。
 　　　0　　　Unit　　(0:angstrom 1:atomic)
　　　1　　　Spin　　(0:non-spin 1:spin )
　　　0　　　M.P.　　(0:No 1:Yes )
20000　　　Sample Point ( <100000, =0 autoset )
 またmakef05を実行後のscat計算は、以下のようにスピン版で回す必要があります。
 dvscat s [Enter]
8 IrF6 77 9 1.830 六フッ化イリジウム (iridium hexafluoride)
鮮やかな黄色の固体, 融点 43.8 ℃, 沸点 53.6 ℃.
9 UF6 92 9 1.9962 六フッ化ウラン (uranium hexafluoride)
無色の斜方晶系の結晶, 揮発性, 昇華点 56.4 ℃, 三重点 64.02 ℃ (1137 Torr).
10 NpF6 93 9 1.981 六フッ化ネプツニウム (neptunium hexafluoride)
橙色の斜方晶系の結晶, 気体は無色, 沸点 55.18 ℃, 三重点 55.10 ℃ (758.0 mmHg).
11 PuF6 94 9 1.971 六フッ化プルトニウム (plutonium hexafluoride)
褐色, 三重点 51.59 ℃, 融点 50.75±0.1 ℃ または 54±1 ℃, 沸点 62.16 ℃.
12 [CrIIICl6]3- 24 17 2.335 ヘキサクロロクロム(III)錯体（錯陰イオン）
((注意)) makef05を実行する前に、F01を以下のように編集する必要があります。
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
　1　　 3.0
　2　　-1.0
・表中の原子間距離は、(社)日本化学会編 化学便覧 基礎編 改訂5版 丸善 2004年
　または、International Tables for Crystallography Volume C, IUCrに掲載されている数値です。
・表中の備考欄は、化学大辞典、理化学辞典、無機化合物・錯体辞典、有機化合物辞典より一部抜粋しております。


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