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◎2.炭素の原子軌道関数を見てみましょう。



  DV-Xα計算環境(コマンドプロンプト)を開きます。

  cd calc[Enter]
   ・・・C:\dvxa から C:\dvxa\calc に移動(チェンジディレクトリ)します。

  md C[Enter]
   ・・・C:\dvxa\calc に“C”というディレクトリを作成(メイクディレクトリ)します。

  cd C[Enter]
   ・・・C:\dvxa\calc から C:\dvxa\calc\C に移動(チェンジディレクトリ)します。

  atomn[Enter]
   ・・・プログラム“atomn”を起動します。

  Input Atomic Number(Z) (from 1 to 94), Z=?
  と聞いてきますので、炭素の原子番号 = 6 を入力してください。

  

  ここまでの作業で、C:\dvxa\calc\Cには、

   ・F01
   ・F09
   ・F39
   ・c04d
   ・C1s--00.sca 炭素の1s軌道(n = 1, Y00(l = 0, m = 0))の原子軌道関数(波動関数)
   ・C2s--00.sca 炭素の2s軌道(n = 2, Y00(l = 0, m = 0))の原子軌道関数(波動関数)
   ・C2p-1p1.sca 炭素の2px軌道(n = 2, Y11(l = 1, m = 1))の原子軌道関数(波動関数)
   ・C2p-1m1.sca 炭素の2py軌道(n = 2, Y1-1(l = 1, m = -1))の原子軌道関数(波動関数)
   ・C2p--10.sca 炭素の2pz軌道(n = 2, Y10(l = 1, m = 0))の原子軌道関数(波動関数)
   
  が出来ています。

   ※n = 主量子数

   ※Ylm(l = 方位量子数, m = 磁気量子数) は、実数型の球面調和関数です。
    詳しくは、教科書・量子材料学の初歩のp.14〜25を参照してください。

  次に、VENUS\Programs\VEND.exeをダブルクリックして、VENDを起動します。

   VEND: Menu
   Dialog
   Graphics
   VEND

  の4つのウィンドウが立ち上がります。

  VEND: Menu の 【Open】をクリックし、Format: のプルダウンメニューで、
  上から5行目の【SCAT (*.scat, *.sca)】を選択、【Browse...】をクリックし、
  ファイルの場所(I): にc:\dvxa\calc\C を選んで、例えばC1s--00.sca を選択し、
  【開く(O)】をクリックします。

  Dialogウィンドウの【Properties + 】をクリック、【Isosurfaces】をクリックし、
  Isosurface level: の値を、例えば0.02a0-3/2など、
  小さい値にして、【Apply】をクリックします。

  この値を小さくすればするほど、原子軌道関数の拡がりは大きく表示されます。

  この値を大きくすればするほど、原子軌道関数の拡がりは小さく表示されます。

  さらに、Smoothingの【More】をクリックすれば、原子軌道関数の等値表面が
  スムージングされて、滑らかになります。

  原子軌道関数の等値表面の内部を見たい場合は、

  Opacity (%): 100

  となっている箇所が右下の欄にありますので、これを例えば、

  Opacity (%): 50

  として、【Apply】をクリックします。

  そうしますと、50 %ぐらい透明に透けて見えるようになります。
  Opacityは不透明度という意味です。

  100 %が普通の状態で、内部は全く見えませんが、
  50 %だと内部がかなり透けて見えるようになります。

  【OK】をクリックしてIsosurfacesウィンドウを閉じます。

  Graphicsウィンドウをマウスの左ドラッグで好きな位置に回転させてやり、
  VEND: Menuの【Export】をクリックし、Export Imageウィンドウで適当な名前をつけて

  ファイルの種類(T):

   BMP (*.bmp)
   EPS (*.eps)
   JPEG (*.jpg)
   JPEG 2000 (*.jp2)
   PPM (*.ppm)
   RAW (*.raw)
   RGB (*.rgb)
   TGA (*.tga)
   TIFF (*.tif)
   EPS (vector data) (*.eps)

  の中から、適当なファイル書式を選択して保存してやれば、各種お絵描きソフト、ワープロ、
  プレゼンテーションソフト等に持っていけるかと思います。

  以下に、以上の操作で描いた、炭素の原子軌道関数を以下に示します。

 3D Visualization System VENUSによるDV-Xα計算結果の三次元可視化 








iso
sur
face
level
*1
n









調


l





m





Smo
oth
ing
*2
con
trd
#
me
sh
V
I
C
S
Opa
city
(%)
*3
Animated
GIF 画像

画像の下の
ファイルサ
イズの数字
(** KB)を
クリックし
てください
JPEG
静止画像

[1]〜[5]
をクリックし
てください
いずれも
40 KB
前後です
[eV]

C
1s
C1s
--00
.sca
+0.02
-0.02
1 Y00 0 0 61
x
61
x
61
100 C1s--00

46 KB
179 KB
306 KB
C1s--00
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-262 2
C
2s
C2s
--00
.sca
+0.02
-0.02
2 Y00 0 0 61
x
61
x
61
100 C2s--00

67 KB
294 KB
598 KB
C2s--00
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-8.20 2
C
2s




*3
C2s
--00
.sca
+0.02
-0.02
2 Y00 0 0 61
x
61
x
61
50 C2s--00

67 KB
294 KB
598 KB
C2s--00
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-8.20 2
C
2px
C2p
-1p1
.sca
+0.02
-0.02
2 Y11 1 1 61
x
61
x
61
100 C2p-1p1

76 KB
324 KB
673 KB
C2p-1p1
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
0.522 0
C
2py
C2p
-1m1
.sca
+0.02
-0.02
2 Y1-1 1 -1 61
x
61
x
61
100 C2p-1m1

81 KB
333 KB
670 KB
C2p-1m1
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
0.519 2
C
2pz
C2p
--10
.sca
+0.02
-0.02
2 Y10 1 0 61
x
61
x
61
100 C2p--10

81 KB
330 KB
670 KB
C2p--10
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
0.535 0

  *1) isosurface levelの単位は、(bohr)-3/2 です。
   ここでbohrは、長さの原子単位のことで、
   1 bohr = a0 = 5.291772108(18)×10-11 m = 0.5291772108(18) Åです。
   a0は基礎物理定数の1つで、ボーア半径のことです。a0については、こちらを参照してください。

  *2) Smoothing欄で使われている記号、
   “○”は、スムージングを1回(元が61 x 61 x 61 ならば、121 x 121 x 121 になります)
   “◎”は、スムージングを2回(元が61 x 61 x 61 ならば、241 x 241 x 241 になります)
   かけたという意味で用いております。


  *3) Opacityを例えば50%にして、
   等値表面を半透明化したとき、内部が透けて別の等値表面が見えるようになりますが、
   原子軌道を回転させたときは、照明のあたる向きによって内部が見えなくなる位置もあります。
   VENUSで等値表面を半透明化して内部の等値表面を観察するときは、
   内部がよく見える回転位置でご覧ください。

  

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岡山理科大学 理学部 化学科 坂根弦太

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