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◎7.ウランの原子軌道関数を見てみましょう。



  DV-Xα計算環境(コマンドプロンプト)を開きます。

  cd calc[Enter]
   ・・・C:\dvxa から C:\dvxa\calc に移動(チェンジディレクトリ)します。

  md U[Enter]
   ・・・C:\dvxa\calc に“U”というディレクトリを作成(メイクディレクトリ)します。

  cd U[Enter]
   ・・・C:\dvxa\calc から C:\dvxa\calc\U に移動(チェンジディレクトリ)します。

  atomn[Enter]
   ・・・プログラム“atomn”を起動します。

  Input Atomic Number(Z) (from 1 to 94), Z=?
  と聞いてきますので、ウランの原子番号 = 92 を入力してください。

  

  ここまでの作業で、C:\dvxa\calc\Uには、

   ・F01
   ・F09
   ・F39
   ・c04d
   ・U7s--00.sca ウランの7s軌道(n = 7, Y00(l = 0, m = 0))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U7p-1p1.sca ウランの7px軌道(n = 7, Y11(l = 1, m = 1))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U7p-1m1.sca ウランの7py軌道(n = 7, Y1-1(l = 1, m = -1))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U7p--10.sca ウランの7pz軌道(n = 7, Y10(l = 1, m = 0))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U6d-2m2.sca ウランの6dxy軌道(n = 6, Y2-2(l = 2, m = -2))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U6d-2p1.sca ウランの6dxz軌道(n = 6, Y21(l = 2, m = 1))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U6d-2m1.sca ウランの6dyz軌道(n = 6, Y2-1(l = 2, m = -1))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U6d-2p2.sca ウランの6dx2-y2軌道(n = 6, Y22(l = 2, m = 2))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U6d--20.sca ウランの6dz2軌道(n = 6, Y20(l = 2, m = 0))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U5f--30.sca ウランの5fz3軌道(n = 5, Y30(l = 3, m = 0))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U5f-3p1.sca ウランの5fxz2軌道(n = 5, Y31(l = 3, m = 1))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U5f-3m1.sca ウランの5fyz2軌道(n = 5, Y3-1(l = 3, m = -1))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U5f-3p2.sca ウランの5fz(x2-y2)軌道(n = 5, Y32(l = 3, m = 2))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U5f-3m2.sca ウランの5fxyz軌道(n = 5, Y3-2(l = 3, m = -2))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U5f-3p3.sca ウランの5fx(x2-3y2)軌道(n = 5, Y33(l = 3, m = 3))の原子軌道関数(波動関数)
   ・U5f-3m3.sca ウランの5fy(3x2-y2)軌道(n = 5, Y3-3(l = 3, m = -3))の原子軌道関数(波動関数)
   
  が出来ています。

   ※n = 主量子数

   ※Ylm(l = 方位量子数, m = 磁気量子数) は、実数型の球面調和関数です。
    詳しくは、教科書・量子材料学の初歩のp.14〜25を参照してください。

  次に、VENUS\Programs\VEND.exeをダブルクリックして、VENDを起動します。

   VEND: Menu
   Dialog
   Graphics
   VEND

  の4つのウィンドウが立ち上がります。

  VEND: Menu の 【Open】をクリックし、Format: のプルダウンメニューで、
  上から5行目の【SCAT (*.scat, *.sca)】を選択、【Browse...】をクリックし、
  ファイルの場所(I): にc:\dvxa\calc\U を選んで、例えばU7s--00.sca を選択し、
  【開く(O)】をクリックします。

  Dialogウィンドウの【Properties + 】をクリック、【Isosurfaces】をクリックし、
  Isosurface level: の値を、例えば0.02a0-3/2など、
  小さい値にして、【Apply】をクリックします。

  この値を小さくすればするほど、原子軌道関数の拡がりは大きく表示されます。

  この値を大きくすればするほど、原子軌道関数の拡がりは小さく表示されます。

  さらに、Smoothingの【More】をクリックすれば、原子軌道関数の等値表面が
  スムージングされて、滑らかになります。

  原子軌道関数の等値表面の内部を見たい場合は、

  Opacity (%): 100

  となっている箇所が右下の欄にありますので、これを例えば、

  Opacity (%): 50

  として、【Apply】をクリックします。

  そうしますと、50 %ぐらい透明に透けて見えるようになります。
  Opacityは不透明度という意味です。

  100 %が普通の状態で、内部は全く見えませんが、
  50 %だと内部がかなり透けて見えるようになります。

  【OK】をクリックしてIsosurfacesウィンドウを閉じます。

  Graphicsウィンドウをマウスの左ドラッグで好きな位置に回転させてやり、
  VEND: Menuの【Export】をクリックし、Export Imageウィンドウで適当な名前をつけて

  ファイルの種類(T):

   BMP (*.bmp)
   EPS (*.eps)
   JPEG (*.jpg)
   JPEG 2000 (*.jp2)
   PPM (*.ppm)
   RAW (*.raw)
   RGB (*.rgb)
   TGA (*.tga)
   TIFF (*.tif)
   EPS (vector data) (*.eps)

  の中から、適当なファイル書式を選択して保存してやれば、各種お絵描きソフト、ワープロ、
  プレゼンテーションソフト等に持っていけるかと思います。

  以下に、以上の操作で描いた、ウランの原子軌道関数を以下に示します。

 3D Visualization System VENUSによるDV-Xα計算結果の三次元可視化 








iso
sur
face
level
*1
n









調


l





m





Smo
oth
ing
*2
con
trd
#
me
sh
V
I
C
S
Opa
city
(%)
*3
Animated
GIF 画像

画像の下の
ファイルサ
イズの数字
(** KB)を
クリックし
てください
JPEG
静止画像

[1]〜[5]
をクリックし
てください
いずれも
40 KB
前後です
[eV]

U
7s




*3
U7s
--00
.sca
±0.15

±0.0138
7 Y00 0 0 61
x
61
x
61
50 U7s--00

138 KB
541 KB
1.18 MB
U7s--00
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
4.692 0
U
7px




*3
U7p
-1p1
.sca
±0.2

±0.045
7 Y11 1 1 61
x
61
x
61
50 U7p-1p1

90 KB
330 KB
680 KB
U7p-1p1
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
8.015 0
U
6dxz




*3
U6d
-2p1
.sca
±0.25

±0.01
6 Y21 2 1 61
x
61
x
61
50 U6d-2p1

92 KB
342 KB
704 KB
U6d-2p1
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
3.856 0
U
6dx2-y2




*3
U6d
-2p2
.sca
±0.25

±0.015
6 Y22 2 2 61
x
61
x
61
50 U6d-2p2

104 KB
379 KB
781 KB
U6d-2p2
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
3.873 0
U
5fz3
U5f
--30
.sca
+0.02
-0.02
5 Y30 3 0 61
x
61
x
61
100 U5f--30

89 KB
362 KB
740 KB
U5f--30
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-0.282 2
U
5fxz2
U5f
-3p1
.sca
+0.02
-0.02
5 Y31 3 1 61
x
61
x
61
100 U5f-3p1

89 KB
369 KB
750 KB
U5f-3p1
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-0.278 0
U
5fyz2
U5f
-3m1
.sca
+0.02
-0.02
5 Y3-1 3 -1 61
x
61
x
61
100 U5f-3m1

86 KB
360 KB
731 KB
U5f-3m1
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-0.279 0
U
5fz(x2-y2)
U5f
-3p2
.sca
+0.02
-0.02
5 Y32 3 2 61
x
61
x
61
100 U5f-3p2

91 KB
378 KB
774 KB
U5f-3p2
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-0.282 0
U
5fxyz
U5f
-3m2
.sca
+0.02
-0.02
5 Y3-2 3 -2 61
x
61
x
61
100 U5f-3m2

92 KB
372 KB
759 KB
U5f-3m2
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-0.281 0
U
5fx(x2-3y2)
U5f
-3p3
.sca
+0.02
-0.02
5 Y33 3 3 61
x
61
x
61
100 U5f-3p3

91 KB
377 KB
774 KB
U5f-3p3
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-0.282 2
U
5fy(3x2-y2)
U5f
-3m3
.sca
+0.02
-0.02
5 Y3-3 3 -3 61
x
61
x
61
100 U5f-3m3

91 KB
375 KB
763 KB
U5f-3m3
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
-0.283 2

  *1) isosurface levelの単位は、(bohr)-3/2 です。
   ここでbohrは、長さの原子単位のことで、
   1 bohr = a0 = 5.291772108(18)×10-11 m = 0.5291772108(18) Åです。
   a0は基礎物理定数の1つで、ボーア半径のことです。a0については、こちらを参照してください。

  *2) Smoothing欄で使われている記号、
   “○”は、スムージングを1回(元が61 x 61 x 61 ならば、121 x 121 x 121 になります)
   “◎”は、スムージングを2回(元が61 x 61 x 61 ならば、241 x 241 x 241 になります)
   かけたという意味で用いております。


  *3) Opacityを例えば50%にして、
   等値表面を半透明化したとき、内部が透けて別の等値表面が見えるようになりますが、
   原子軌道を回転させたときは、照明のあたる向きによって内部が見えなくなる位置もあります。
   VENUSで等値表面を半透明化して内部の等値表面を観察するときは、
   内部がよく見える回転位置でご覧ください。

  

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岡山理科大学 理学部 化学科 坂根弦太

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